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サイエンスマンの本格科学メモ

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現代物理、進化論、脳科学など、現代の科学についての個人的思考を中心に記録します。

素粒子論における標準模型に、自発的対称性の破れという重要な考え方があります。ゲージ対称性の破れやヒッグス機構もこれで説明できます。自発的対称性の破れとは、対称性が自発的に破れて一方向が特定化される現象で、もともとは統計力学で相転移と呼ばれる現象と同じです。

相転移とは、液体相の水が個体相の氷に変化したり、気体の水蒸気に変化するような現象です。物質そのものはH2Oで変わりはないですが、相によって性質ががらりと変わります。素粒子論でよく引き合いにだされる相転移は磁性体のそれで、ある温度以下になると、電子スピンがある方向に揃いだし、相転移が起きて常に磁性を持つようになります。このとき、統計力学の法則に従う統計集団は電子スピンの集団で、スピン間のミクロな相互作用が相転移という現象を起こします。相転移は集団内の協同現象です。

しかし、素粒子論での自発的対称性の破れ、つまり相転移における統計集団は何でしょうか。標準模型ではゲージ対称性や質量などの素粒子単体の性質を議論しているので、素粒子集団の統計力学的性質ではありません。素粒子自体に相転移が起きているということは、その裏に何らかの統計集団が潜んでいることを意味します。磁性体なら電子スピン集団が相当します。

ヒッグス機構では、質量を生み出すポテンシャルが仮定されますが、このポテンシャルは統計力学的な結果であって、その裏に何かの統計集団が想定されます。その正体は不明ですが、以前からの素粒子仮説からは「時空の歪み」の集団が候補にあがります。素粒子を構成するものがまた素粒子になるのかもしれませんが、それでは無限に繰り返しそうで、ありそうもないです。それよりどこかで「物質ではないもの」に帰着するほうが可能性がありそうです。


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# by scienceman | 2014-12-28 16:31 | 現代物理
生物の細胞は生殖細胞などを除いてすべて同じDNAを持っているので、発生の時にいろいろな種類の細胞群ができるためには、DNAにある各遺伝子の発現をコントロールする仕組みが必要で、そのことからもエピゲノムの存在は必然だったと言えるかもしれません。

仕組みの研究がエピジェネティクスで、遺伝子発現のコントロール自体も遺伝することがわかっています。祖母の妊娠時の栄養状態がその孫までの体質に影響したりします。エピゲノムの実体は、DNAのメチル化やDNAが付着しているヒストンのアセチル化などがあり、RNAが絡むものもあります。

そのように環境が遺伝子の発現に影響するとなると、進化論において主張される、獲得形質の遺伝はないことと矛盾するように思われます。確かに古くからの問題設定、つまり形質を遺伝性と獲得されたものに分ける考え方によれば、獲得形質も遺伝しうる、という結果になります。しかし、遺伝子の発現には環境も関わっているという事実(マット•リドレー「やわらかな遺伝子」)から考えれば、遺伝形質と獲得形質は深く関わっていて、きっぱりとは分けられないと思われます。

したがって、遺伝子の意味を単純にDNAと考えるのは、エピジェネティクスの点から誤りであるだけでなく、環境や学習などを通じて遺伝が行われることからも誤りであると考えられます。遺伝子にはDNAだけでなく、エピジェネティクスや環境、学習なども含まれるはずです。だから「獲得形質は遺伝しない」という主張自体に意味がなくなっているのかもしれません。


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# by scienceman | 2014-10-01 17:53 | 進化論
究極の素粒子の話ですが、ここでは超弦理論からは離れることにします。素粒子を「局在化したエネルギー」と捉える考え方から見ると超弦理論もその路線にありますが、エネルギーが弦の振動であるという必然性はなく、他の可能性もあります。

エネルギーの実体として、また時空の歪みを考えます。宇宙には時空しかなく、その歪みが素粒子の実体となるという見方です。それと関連して、古い仮説ですが、似たものにウィリアム・トムソンの「渦原子」があります(1867)。

渦原子仮説では、時空の代わりにエーテルという流体が前提で、エーテルに発生する渦が多種の原子になるという仮説です。タバコの渦輪のように、いくつかの渦は流体中で安定に存在します。現在ではエーテルも渦原子も否定されましたが、宇宙にはエーテルしかなくて原子は見かけのものである、というところが似ています。

素粒子の話に戻ると、真空が流体と見なせるかどうかが問題になります。時空は流体のようには見えないかもしれませんが、もし時空の細かい歪みが密にあるなら歪みの流体と見なせるかもしれません。歪みの自由行程が短ければその流体は連続体として記述できます。

真空が流体として記述できれば、安定な歪みの渦が発生する可能性があり、それらが素粒子になるかもしれません。渦粒子モデルが素粒子の量子力学的性質をどのくらい説明できるかわかりませんが、イメージはかなり明確になりそうです。

とはいっても、渦粒子が成立するためには上で話したようにいくつかの前提が必要で、やはり渦粒子モデルは可能性のある一つの仮説の域は出ないかもしれません。

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# by scienceman | 2014-06-30 21:30 | 現代物理
さて、素粒子の正体についての続きの話です。ここでは、超弦理論(超ひも理論)を前提にして話を進めていきます。超弦理論は、素粒子を「局在化したエネルギー」とみなす枠組みの一つで、弦の振動エネルギーが素粒子の実体であると仮定します。そして、弦は何でできているかの問に対して、ここではさらに進んで「時空の歪み」と答えます。

すると、どんなことが説明できるようになるでしょうか。

まず、一般相対性理論のアインシュタイン方程式ですが、この式により質量を持つ物質のまわりの時空が歪むことがわかります。それによって重力が働くように見えて、物体だけでなく電磁波の進路さえ曲がります。でも、なぜ物質のまわりの時空が歪むのでしょうか。方程式からはそれはわからず、とても不思議に思えます。

しかし、物質の正体が「局在化した時空の歪み」の固まりであれば、その周囲の時空が歪んでいても不思議ではないでしょう。局在化といっても量子的な意味で固まっているだけで、物質の外で急に歪みがゼロになるわけではありません。

つぎに、超弦理論で弦が相互作用するとき、弦がいったん伸びるような形になって、素粒子を放出したり合体したりします。このように弦は案外伸縮自在のようです。おそらくクォークのような形の素粒子だとそれは難しいでしょうが、時空の歪みならもっとフレキシブルになる感じがします。

それから、場の量子論で素粒子を点粒子とみなして、点が波の性質をもつという不自然な仮定をしているように、超弦理論でも不自然なことがあります。その一つは、幅のない一次元の弦が張力をもつ点です。弦が物質でできている限り、無理な設定に思えます。しかし、時空の歪みなら、一次元になりながら、一方で重力波になれるように、張力も持っていても不思議ではありません。

また、光の速さについて、その由来は時空の歪みが波として伝わる速さということになります。つまり重力波の速さで、これは真空の性質であり、媒体を必要としない波です。伝播は波動方程式に従い、伝播スピードは座標系によらず一定です。そして、時空の歪みが伝わる速さ以上の情報伝達スピードはない、ということになります。

真空の状態についても明快な図が描けるかもしれません。おそらく真空では、ゼロ点エネルギーとして細かい時空の歪みが存在していて、それらが一時的に局在化して対生成と対消滅の過程を繰り返し、仮想の重力子や光子などが生成していると思われます。

話は飛びますが、宇宙の成り立ちについても明快な説明ができるかもしれません。つまり、何もない時空の「無」から、時空の歪みという素粒子を含んだ「有」が発生する仕組みが説明可能になります。この仮説なら、十分なエネルギーがあれば無から有が生まれるのです。真の意味で、宇宙誕生の瞬間が描けるのです。

はじめに真空の時空しかなく、エネルギーとしてその歪みがあるだけでした。歪みはしだいに局在化して弦となり、振動して素粒子となります。そうして、重力子や光子などの素粒子に満ちた初期宇宙が誕生します。

というふうに、いくつか明快に説明できることはありますが、内部にいくつか不明の点もあります。まずは局在化の仕組み。それと関係しますが、時空の歪みが開いた弦として安定して存在するかどうか。など、まだまだ一つの仮説の域かもしれません。

また、我々の身体が時空の歪みの固まりにすぎない、という説はきわめて衝撃的で、それは先祖がサルに似た動物であるという、進化論の比ではないでしょう。進化論でさえ信じない人がいるくらいですから、これはなおさらでしょう。簡単に言えば、物質はイリュージョンであるということですから・・・。

ただ、考えてみれば、我々の身体の99%以上(たぶんそれよりずっと100%に近い)は真空であって、すかすかの素粒子集団にすぎません。我々の身体も、本当は想像を絶する世界です。そして、宇宙には時空しか存在しないという、これだけシンプルな宇宙観となると、かえって本当かもしれないという気もしてきます。


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# by scienceman | 2014-05-05 17:08 | 現代物理
特殊相対性理論から導かれるE=mc∧2はもちろん
            エネルギー  = 質量
ということであり、その等価性から前回、素粒子を「局在化されたエネルギー」とみなす考え方を提案しました。 超弦理論もその方向の一つです。おそらく 、素粒子は 粒子としてもエネルギーとしても記述できて、等価な理論ができるのでしょう。もっとも粒子と考えるほうがイメージしやすいし、理論も組み立てやすいかもしれませんが。 

ところで、有名なアインシュタイン方程式の意味をざっくりと示すと、
           時空の歪み = エネルギー
ということになり、エネルギーすなわち質量のまわりの時空は歪んで、結果的に他の物質や波動の運動を変化させます。ここで、この方程式の解釈をさらに進めて、エネルギーと時空の歪みは等価であると考えてみます。そうすると、素粒子は「局在化された時空の歪み」とみなせます。

時空の歪みは波として伝わることもできて、これが重力波です。重力波は間接的に観測されています。重力波に関わる素粒子は未発見の重力子で、この正体が局在化された時空の歪みなら、この宇宙には時空しか存在しないことになります。

量子論も相対性理論も、時空と物質の存在を前提にしています。しかし、上の考え方ではこの宇宙には時空しか存在しません。波や物質に見えるのは時空の歪みに過ぎなくなります。なにやらトンデモ科学に近づいている感じもします。アインシュタイン方程式を拡大解釈し過ぎでしょうか。

ただ、今では真空の存在が非常に分かりにくいものになっています。真空には何もないのではなく、いつも対発生で物質ができていて、宇宙の膨張をコントロールするだけのエネルギーも含んでいます。現代物理はまだこの真空が記述できる理論を持っていません。

しかし、宇宙には時空しか存在しないという仮説をとれば、たいへんすっきりするような気もします。真空は文字通り何もない時空であり、素粒子に見えるものはその時空の歪みにすぎないことになります。歪みの波は電磁波や重力波となり、局在化された歪みは光子や重力子になります。他の素粒子も局在化された時空の歪みのいろいろな形ということになります。

これは素粒子論における「色即是空」観かもしれません。「色」がついた素粒子に見えるものは、実際は時空という何もない「空」の一形態にすぎないわけです。もしかしたらトンデモ仮説に終わるかもしれませんが、なんとなく、これからいろいろな事がすっきり説明できるような気もします。

この素粒子モデルが今の超弦理論に組み込めるのかどうかわかりませんが、もし超弦理論の発展系と見なすことができれば、これは「弦」が何でできているかの一つの答えになります。超弦理論では、とりあえず弦が何でできているかは問いませんが、これはそれが時空の歪みだと答えます。歪みが弦状になって振動していることは、わりにイメージしやすいかもしれません。


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# by scienceman | 2014-04-28 14:16 | 現代物理