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サイエンスマンの本格科学メモ

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現代物理、進化論、脳科学など、現代の科学についての個人的思考を中心に記録します。

ダークマター

 ダークマター(暗黒物質)は、宇宙には恒星とは別に、光らない暗黒の物質が充満しているようだと、1930年代から指摘されてきたものです。銀河の渦巻きの動きや銀河団の動きが、眼に見える恒星だけの重力だけでは説明できないほど速いため、見えない物質があるに違いないと考えられたのです。ダークマターの存在は、重力レンズを応用した観測や、銀河の衝突でも間接的に確認されています。ダークマターは銀河を取り囲むように球状に分布しているようです。

 初期にはダークマターの候補として、褐色矮星などの光らない死んだ星が挙げられていて、実際に発見もされましたが、数が少なく質量が足りないため考えられなくなりました。そして、次の候補として当時未発見の素粒子であったニュートリノに白羽の矢が立ちましたが、これも発見されると質量が少なすぎるということで破棄されました。軽いとダークマターは高温になり、銀河団などの宇宙の構造ができるのに時間がかかりすぎることになってしまいます。そこで現在、ニュートリノの超対称性パートナーと予想されるニュートラリーノがダークマターの一番の候補になっていて、観測装置の建設などが進んでいます。

 もちろん未知の粒子からなるダークマターが、ニュートラリーノではないかもしれません。まだ提案されていない他の粒子かもしれないし、宇宙の始まりに余剰次元に閉じ込められた粒子かもしれません。微小に巻き込まれた余剰次元の空間で運動する粒子は、大きなエネルギー、すなわち大きな質量を持つ可能性があり、次元を越えて重力が観測されることがあるかもしれません。

 主流ではありませんが、ダークマターの存在を疑う議論もあります。銀河のようなスケールでの重力法則は確認されているわけではないので、法則あるいは定数を変更する方向もありえます。そのようなスケールでは、重力は見かけより強いのでは?ということです。これはニュートン力学から変更する必要があります。重力定数をスケールが大きくなると増えるようにすればいいのですが、そのためには別の未知の素粒子の存在を仮定して重力を発生させなければならず、結局別種のダークマターがあるということになってしまいます。ダークマターは宇宙背景放射の観測結果とも矛盾しませんし、観測すべてを説明できる新しい重力法則は、なかなか難しそうです。

見えない宇宙 理論天文学の楽しみ

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by scienceman | 2012-02-24 15:42 | 宇宙論