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サイエンスマンの本格科学メモ

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現代物理、進化論、脳科学など、現代の科学についての個人的思考を中心に記録します。

力の統一について

 現代の素粒子物理学では、電磁気力、弱い力、強い力、重力の四つの力を統一することを一つの目標にしています。大統一理論や超対称性、超ひも理論もそのような流れで発生しています。それは量子論と一般相対性理論を統一するという面も出てきます。もちろん統一理論を組み立てることができれば理想なのですが、その前に足場がどうなっているのか確かめておくのも大切かもしれません。

 まず一方で、量子力学を基礎にした場の量子論による統一の流れがあります。QEDによる電磁気力と弱い力はすでに統合されましたが、QCDによる強い力を取り込もうとしたGUTは、陽子の崩壊予言でつまづき頓挫した形になっています。陽子の崩壊時間が長いモデルも考えられているようですが、複雑になるばかりです。

 量子は波と粒子の両方の性質を持ちます。場の量子論ですべてがうまくいけばよいかもしれませんが、そもそも大きさを持たない点粒子がどうやって波の性質を持てるのでしょうか。繰り込みとか考える前に、この基本的な矛盾がある限り、すべて統一するのは無理でしょう。つまり、基本的な原理において理論が不完全ということですから・・・。

 他方、重力を表わす一般相対性理論はどうでしょうか。もちろん場の量子論を含んでいない古典論なのはしかたがないのですが、それを除けば万全な理論なのでしょうか。アインシュタインが定常宇宙を導くために宇宙項Λを入れたのは有名な話です。
    Rμν - gμνR/2 + Λgμν = 8πGTμν/c4
このように、望みの答えを得るために方程式を変更できるような理論は、はたして磐石と言えるでしょうか。

 ニュートンが重力の法則を発見したとき、遠い物体同士がなぜ力を及ぼしあうのかわかりませんでした。とにかくそういう遠距離力が働くのだということにしました。そしてアインシュタインは、物体が周囲の時空を曲げることによって力を及ぼすように見えるのだと説明しました。そのように、なぜだか説明がつかないところに不完全さがあり、新しい理論への道の可能性があります。

 いまアインシュタイン方程式に戻ると、ここでは、なぜエネルギーが時空を曲げられるのかの説明がありません。どのようなメカニズムで曲げられるのでしょうか。その原理があるのなら、宇宙項の入る余地はなく、しっかりと等式で結べるかもしれません。あるいは宇宙項は必要であるとわかるかもしれません。ここでも説明のつかないところには、不完全さが潜んでいる可能性があります。

 そう見てくると、現状での力の統一理論とは、不完全な二つの理論を統一しようという試みに見えます。そして、不完全な理論どうしを統一して完全な理論ができるとは考えられないのです。上に建屋を立てる前に、足場をしっかりしておくのがよいかもしれません。繰り込みができるできないではなくて、基本的な原理は何かを探るべきかもしれません。
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by scienceman | 2012-03-14 18:06 | 現代物理